観るものと、生活の日記

「DRACULA」(再演)

StudioLife「ドラキュラ」
★★

於:新宿シアターサンモール 2004年6月19日13時 J列左ブロック/18時 H列右ブロック
(東京公演 2003年6月9日~27日)

原作:ブラム・ストーカー 脚本・演出:倉田淳


出演

  LATITUDEキャスト LONGITUDEキャスト
ドラキュラ伯爵 笠原浩夫 曽世海児
ジョナサン・ハーカー 甲斐政彦 山本芳樹
ミナ・ハーカー 舟見和利 及川健
ゴダルミング(アーサー) 山サキ康一 林勇輔
ルーシー 古田隆太 深山洋貴
キンシー 佐野考治 奥田努
セワード 牧島進一 寺岡哲
レンフィールド 倉本徹 篠田仁志
ヘルシング教授 河内喜一朗 船戸慎士
魔女 ほか 下井顕太郎
萬代慶太
女中 ほか 松本慎也 三上俊
ツガニー人ほか 大沼亮吉
宗村蔵人
荒木健太郎
関戸博一



○設定・筋○

怪奇ロマンというのは苦手なジャンルで、興味をそそられないまま期待せずに観に行って
しまいました。☆2つと少ないけれど、原作や映画は最後まで見られなかったことを
思うと、多い方かもしれません。

焦点である「なぜドラキュラがジョナサンを?」というのもあまりピンと こないままでした。
もうちょっとつきつめてほしかったです。
StudioLifeの芝居は中性的な人や同性愛が多いようですが、これまで観たものは原作に
必然性を感じました。
パンフレットの倉田さん対談を読んでいても、疑問点は増します。
筋を変えるだけではなく、本題をいじったのだから、もっと解釈を深めてほしかったです。
どうせなら全体から大幅に変えてもよかったかもしれません。

これコメディにできるんじゃないかな、という程コミカルなものを感じました。
ホラー要素も少ないし、そういう点では面白かったです。
ただ製作者の意図にあろう、ドラキュラの哀しさや孤独に対する感情移入は
残念ながら起こりませんでした。
「そういわれても私何百年も生きたことないし…」とかミもフタもないことを思ってしまった。
アーサーのルーシーへの想いなどにもあまり重きを置けず、
キンシーの死にも「あなたが死んじゃうの?」と不思議でいっぱい。
何かとピンとこなかった私でした。この辺は私に問題があるんでしょうか。分かりませんが・・・。


○演出・美術・衣装など○

青みがかかった照明、ゆっくりとした動きがきれいで、見てて飽きさせず、引き込まれました。
音楽も相変わらずよく合っていて、効果的に感じました。
衣装はあまり印象にないのですが、ミナの髪や服だけいまいちに感じた気がします。
天井の棺桶は謎です。最後なぜ傾いたのかも、分からない。

○役柄○

ドラキュラは原作や映画に比べると愛着も感じられますが、やはり謎が多かったです。
ミナはメイン役であるはずが、立場が半端になって、脇の1人のようでした。
ジョナサンとの夫婦感も薄く感じられ、ルーシーの方が目立っていました。
レンフィールドの存在も、私にはその位置付けや意味がよく分かりませんでした。
援護の男性陣にもあまり重要度感じられず。魔女やツガニー人はしっくりきました。


○配役○

以前倉田さんはインタビューで「配役はどのように決めているのか」と きかれて「見た目もあるが、役者の感性とか考え方とか中身で」という ようなことを仰っていた気がするのですが、今回パンフレット読んでいると 「やっぱりビジュアル重視なのかなぁ」と思っちゃいました。 イメージに合う合わないもそりゃ必要ですよね。でも絵のある原作はともかく、 小説だと人によるので・・・。私は長細い笠原さん より筋肉質な曽世さんの方がいいなぁ、とか思ったんですけどね。 舞台では見た目重視するのは登場直後だけで、後はやっぱり演技を見ますよね。
及川さんも案外女性役に向いてないのではないか、と時々思うのですが、どうでしょうか。やはり見た目重視で選ばれているのでは、という気がしました。


≪LATITUDE≫

 LOキャストよりコミカルでおかしみをたくさん感じました。いまいち上手くない役者さんも多く感じ、最初の方は「…アマチュア劇団っぽい?」とさえ思ってしまいました。古田さんは女装が良く似合い、新人の割になめらか口調でしたが。 ふと「StudioLifeってこの先もずーと"出演者全員上手い"ということはありえないのだろうか…」と思いました。どうなんでしょうね。 レンフィールド倉本さんが一番上手く思ったのですが、周りの雰囲気から少し外れた感じもし、演技が加藤健一さんにちょっと似てました。

肝心のドラキュラはなかなか出てこないから、さぞ印象的に出てくるのだろう、と 思ってたのですが…何だか面白げに感じてしまいました。血の吸い方なども…。自分が素直に見られてないのか。笠原さんドラキュラきれいはきれいでしたが、少し面白みが先立ちました。面白みといえば、LA・LO共通で魔女にもそれを感じました。演技がマズかった訳ではなく、その面白みがよかったんですけど…多分作り手の意図には外れている感想でしょうね。ただもう少しセクシーでもよかったかな。

及川さんの少年キンシー、かわいかったですよ。ええ。拍手もおきるわ。考えてもなかったんでボーナス気分でした。まだ全然少年役できるんだな~と驚きが。LAでのミナよりよく合っているように感じてしまった私でした。それが一番印象的だった、ていったら怒られそうですけども。

≪LONGITUDE≫

こちらはよりシリアス感強かったです。見た目は曽世さんの方がよりドラキュラっぽく感じたものの、演技はあまり変わらなく思いました。やっぱり「演出家が同じ」だから?

こちらの方が、演技の上手い役者さんも多く感じました。特にレンフィールドの篠田さんの演技力には驚き。去年まで新人だったなんて?入団前に演劇経験あったんですかね、やっぱり。周りにも馴染んでいて、よかったです。 山本さんのジョナサン、とてもドラキュラのことがイヤそうでしたね(笑)。喋り方や動きがなよなよっとしてるので、時々おかしくなってしまいました。

松本君の少年キンシーもかなり可愛かったです。噛み付く前の表情、小ドラキュラっぽくてジョナサンじゃなくてもちょっとどきっとしました。が、ちょっとやりすぎ(笑)。それまでのシリアスな雰囲気ふっとばしちゃいました。「こんな若い子を及川さんと対に持ってくるとは」と危機感が。将来エーリクとかに選ばれそうだよ、この人は。


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